数のまとまりを見付けよう~第3時~
公開日:
2025年3月27日木曜日
本年度、最後の更新です。
研発で行った単元の最後の時間の様子です。
前時の算数絵日記において、「もっと数を変えてみたい」という記述が多く見られました。さらに、何人かは、「6増やした24でも、2・3・6で分けられる」という気付きがありました。そこで、導入では、数を変えてみたいという記述をきっかけに、6を増やした24でも本当に分けられるのかを問いました。
すると、予想のずれ(分けられる、分けられるかわからない)が起こったので、
本当に24はあまりなく分けられるの?
とめあてを設定し、調べていきました。
それぞれで調べていく前に、3列にするとノートの1ページの中に図が収まることを確認しました。(このかき方をすることで「6増えたら分けられること」が見えてきます。ただ、一方的にこのようにかきなさいは、子どもにとって意味が分からない指示だと思うので、「ノートにかくなら。3列や4列とかだとうまくノートに入るよ」というようにいいました。)
調べていく中で、次のようなやりとりやつぶやきを子どもたちはしていました。
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T:新しいまとまり見付けたの?へ~!
しょう:先生、(3のまとまりが)8こできた。
れんと:ムクロジ2このおもちゃなら12こできた。
えいた:3のまとまりでもいける。
たけし:5ではできないよ。だって、5・10・15…
ゆうた:たしかに。だって、あと必ず1つあまる。
えいた:6のまとまりでもできる。
たけし:9のまとまりだと…。
えいた:4もできた。
たけし:先生、9のまとまりはできない!
えいた:2・3・4・6はできる。
たけし:7もできません。
ゆうた:たしかに。6がいけるなら、7いけないな。1こたぶんあまる。
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2・3・6などの分ける数を様々に変えながら調べる姿がありました。
3年生で扱う「わり算」ですが、操作するのであれば、1年生でも「あまり」
まで見付けることができます。
乗法・除法の素地指導として、操作によって分けていくことや分けられる
(等分)数と分けられない数があることを体験的に理解しておくことは、重要だ
と考えます。また、かけ算を学習する前だからこそ、操作や図による理解を促進
し、そのイメージが豊かになると思います。
このあと、どのような結果になったのかを交流していきました。
その後、子どもたちに、「なぜ6増えると2・3・6で分けられるのか」を
考えさせていきました。
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T:えいたさんは、6こ増えたら分けられるんじゃないの?って言っていたね。なんで6ふえたら、分けられるんですか?お隣と話してごらん。
あい:だって、3のまとまりは、6のまとまりは、6は3と3で分けられるし。24も2とか2、3と3、6と6で分けられる。
C:どういうこと?
T:ちょっとよく分からなかった人?付け加えある?
こうた:6は3と3でできているし、6は2と2と2でできているし、6は3と3でもできている。
しょう:あーだから、6ふえれば…。
えいた:2と3ができるなら、6もできるでしょ。
こうた:だから6+6で12。12+6=18。
T:今の話分かった?あいさんの話に何を付け加えたの?
えいた:2と2と2
しょう:2と2と2、3と3。そういうことか。
T:なるほど。6という数が、2でも3でも分けられるから、6増えたら分けられるぞってこと
ね。ちょっとお隣さんと確認してごらん。
T:じゃあ、12・18・24いけました。次、何がいける?
C:30!
ゆうた:30、36、42…。
T:じゃあ、30いけそうですか?ちょっとだけ確かめてみようか。
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このようにして、「6増えると分けられる理由」まで考えていきました。
ここまで、子どもたちに見せたかったのは、ある数が様々な数で分けられるこ
とを改めて明らかにするとともに、きまり(6ずつ増えるという乗法的な見方)
を発見し、その理由を操作や図によって明らかにする経験をさせたかったからです。
そして、このあと、たけしさんやえいたさんのつぶやきをきっかけに、18や24、30は他にどんな数で分けることができるのかを見付けていきました。さすがに、あまり時間がとれなかったのですが、子どもたちは、24に4や8、12のまとまりがあることや、30だと5や10のまとまりができることを見付けていきました。
今回の実践を通して、乗法や除法の素地の学習だけでなく「数を変えて、操作や図によって調べていく」という経験をしていきました。このような経験は、数学の事象を考えていく際にも、生かされていくと思います。
また、ムクロジをつくったおもちゃがいくつできるのか?という日常の事象からスタートした本単元ですが、第3時は、24は2・3・6で分けられるのか?という数学の事象について考えてきました。
指導要領で示されている「算数・数学の学習過程」ですが、左側ぐるぐる、右側ぐるぐるで考えるのではなく、「8の字ぐるぐる」で考えることが重要だと思いました。
さて、来年度も本校算数科では、「数学的価値」を中心に据えながら実践を行いたいと考えています。本年度を振り返って、数学的な見方・考え方や解決方略、学習方略の大切さやよさを感じる姿があったものの、果たして、それが「価値」にまでなったかというと、不十分であったように思います。
おそらく、見方・考え方を捉え、その良しあしの判断まではできているのですが、活用するという段階まで進んでいないからではないかと考えています。
来年度もたのしみながら、実践を重ねていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
熊本大学教育学部附属小学校 算数科 内田 武瑠
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