6年 比 「くじ引きゲームをプロデュース!」第7時

公開日: 2025年5月21日水曜日

 算数科の津川です。

 前回までくじを紙で行っていましたが、今回からはピンポン玉を用いて行います。

ピンポン玉を活用する理由としては、紙と違って数に制限をかけることができるためです。この制限の中で、比から全体を1として見たときの部分の求め方を考える時間にしました。

上の写真のような玉を用いて、子どもたちはくじを作っていきました。

T「昨日、あたりとハズレの比決まりましたか?」
C「決まりました!」
C「2:1とか!」
 子どもたちはいくつか考えた比をつぶやきました。
ここで、教師から話題を提示しました。
T「例を出します。あたりとハズレが2:3のくじを使います。同じ比にした班はあったかな?」
C「1:5かな」
C「(自分たちと)近くはないかも」

 ここで、上の写真の玉を見せました。そして、下の写真のように、くじ引きセットとして上限が12個から16個と決められていることを共有しました。


子どもたちに、何個セットを選ぶとよいかを問いました。
C「15がいいんじゃない?」
C「12個だと無理だと思う。2:3は」
T「もしも12個だと、あたりとハズレが何個になるかイメージできますか?」
C「できます」
C「だって・・・」
何個になるかを説明し出す姿が少し出てきたところで、「15このとき、あたりとハズレが何個になるのか考えようと」と課題を設定し、それぞれで考える時間をとりました。




 この子は、毎回アレイ図をノートに描いてどうして3倍になるのかを考える姿があります。そのよさが班のメンバーに広がっていくことがこの単元の中でもよくありました。


 どこの部分が2で3なのか、同じ班の友達と確認しながら3倍の部分も確かめる姿がありました。

全体的に、黙々と数学的表現をノートにかく姿がたくさんあったので、一度それらの様々な表現を共有したいと考え、全体で話し合う時間をとりました。
まずは、最初にこの考えを取り上げました。

T「みんな同じ?」
C「最初は同じです」
C「同じような式になりました」
C「だいたい一緒だけど、ちょっと違います」
このようなことを話しながら、下の式をかきました。

T「何が違ったんだろうね」
C「式を簡単にするところが違うのかな」
C「式を並べて直列にしている」

ここで、文字を使っていたので、何を文字で表しているのかを確かめました。

T「2つの式に共通しているものって何ですか?」
C「2つの比を足している」
C「比の和があるよ」
T「今、比の和って言っているけど、この5ってどんな意味なんだろうね」
C「あたりとハズレの合計」
C「比の合計のことです」

 この全体量を表す数字をまずは明らかにしたかったことから、計算式を先に表現させました。
その後、この状態を図で表した子が複数いたので、黒板にかくように促しました。

T「ここの5は見えますか?」
 まだ図に5は書き込まれていない状態で、子どもたちに先ほど話題になった比の和である5がどこにあるのかを問いかけました。

C「見えます」
C「上の方じゃない?」

 近くの人と確認した後に、どこに5があってどこに×3があるのかを黄色の字で書き込みました。こうすることで、前の計算の部分と統合して捉えることができるようにしました。


C「これは面積図です」
C「他にもあります」
 全体を表していることや、その全体の数を基にして×3倍していることを改めて実感してほしいと考え、子どもたちに思い思いに黒板に表現させていきました。


ここで、1人の子が手を挙げて式を黒板にかき始めました。

 黒板に書いている途中で両方を×5としたときに、手が止まってしまっている様子でした。これは2:3をあたりとハズレの比にして、本来ハズレの比であるはずの3が全体量の15と対応してしまっていることが、ずれを生み出している原因であるようでした。これまで出てきていた「比の和」と対応させてこの計算式を考えることで、全体と部分の比の関係について確かめることができると考え、全体にこの後どうすればよさそうかを問いました。
C「今の状態だと分数倍する必要があるんじゃないかな」
C「下に(計算式を)書いていいですか?」
ここで、下の写真のような3つの比を書きはじめました。

T「15と対応しているのはどれだろう」
C「5だよね」

ここで、元の式に戻りどこの部分が5なのか、×5なのか3なのかを確かめました。

 さらに、これまで出てきた数学的表現全体を見て、全体の個数がわかっているときのそれぞれの個数の求め方はどうすればいいかを確認しました。
C「例えば、75の個数があると、その数を比の合計で割って、その数にそれぞれの比にかけてあげれば求めることができます」


そして、最初のくじ引きセットに戻り、どうして12、13、14、15、16の中でも15個のセットだったのかを確かめました。
1人の子が商とあまりの関係で、全部計算式を書いて15だけぴったり割ることができるということをノートに書いていたので、その考えを取り上げました。

ここから、これまで考えてきたプロセスを振り返り、自分たちの班も同じようにくじ引きゲームを作ることを促しました。

しんじ「待て、16こかな?」
なつき「14こだよ」
 スムーズに活動に入ることができるようにするために、真ん中の数である14個をそれぞれの班のセットとして用意し、そこから12〜16に数を増減するように説明しています。そのため、箱に入っている数が本当に14個かを確認している様子でした。

なつき「比どうする?」
れいと「3:2?」
なつき「14個だよ?私たちって何だった?」
れいと「18:6で3:1だよ」
しんじ「7:3だよ。やっぱり1:3でいこう」
なつき「1:3、(玉に)絵を描く?14個なんだけど?」
しんじ「どうしようか」
なつき「1:3ならまだもらってくる?」
しんじ「12か16にしよう。1:3だから」
なつき「じゃあまだもらってこようか」
なつき「オレンジ?」
しんじ「黄色で行こう」
しんじ「まず4個取ろう」

ここからくじの制作を始めました。
制作の途中に、他の班の子がくじ引きの箱を持って引いてもらいにくる様子も見られました。


なつき「ハズレにも色をつけようよ。濃い青色にしよう」
しんじ「色だけ変えるってことね。でも、ハズレって書くようにしよう」

最後に、それぞれの箱に比を書かせて、班のくじを確定させていきました。

この時間の算数図日記になります。

 全体で共有した図によさを感じているようです。他の子もいるのですが、くじの個数が少ないために、くじの個数を増やしたいという思いをもっている子がいます。

 この時間での学びを生かして、くじの個数を求めたことをまとめているものもありました。このようにみんなで共有した数学的な見方・考え方を、それぞれの子どもたちが発揮する時間も大切にしたいなと考えています。

 友達の考えと自分の考えを比べたことと、他の友達の考えのよさを言語化している姿がありました。
 
 この振り返りは、比の考え方と個数の和差の考え方が混在していて面白いなと思いました。外延量と内包量の違いについて考えるきっかけにもなる言葉だと感じています。

 次の時間では、この違いに着目していきたいと考えています。
今、「どうしたらくじをさらに面白くすることができるか」考えています。その中で、様々な選択肢が出てきています。次回はくじの中身をもっと多くしたいという思いを出発点に、くじ同士を足し合わせたときの比について考えていきます。その過程で、内包量と外延量の違いに着目して割合についての理解を深めていきたいと思います。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

算数科 津川
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