じゃんけんゲームをプロデュース! 単元について
公開日: 2025年11月30日日曜日
6年生の教科書で新しく学ぶ単元としては最後である「並べ方と組み合わせ方」の学習をに入りました。5年生から共に学んできた子どもたちとの学習も残り少なくなってきました。ただ、一緒に学んでいく中で、これまでも学習の積み重ねを感じる瞬間もたくさんあります。そのような瞬間も噛み締めつつ、この単元もたのしんでいくことができたらと思っています。 この単元は、落ちや重なりがないか調べる事象や、調べるための観点が与えられていることが多いため、「どうしてその数学的表現を用いているのか」を立ち止まって考える経験が少なくなってしまうと考えました。例えば、教科書では、リレーの事象や2桁の整数を作る事象、総当たり線の組み合わせ、5つのアイスクリームの中から違う種類の2つを選んで買うなどの事象などが挙げられています。これらの事象について、それぞれ並べ方や組み合わせ方を考えていくような学習で進んでいきます。この時、子どもたちは並べ方を考えているのか、組み合わせ方を考えているのか、その事象の違いに立ち止まって、考える機会が少なくなってしまうと感じています。その中でも落ちや重なりなく調べるために、樹形図のような考え方だったり、表だったり、四角形のような図等の数学的表現を必要感のないまま提示してしまうなど、子どもたちがその事象を落ちや重なりなく調べるために、どうしてそのような数学的表現を活用したのか、そのことに立ち止まって考える機会も少なくなってしまっていると感じました。
今年度も算数科では「共に数学的価値を生み出す算数科学習」として子どもたち同士がよりよい数学のよさを追求しながら、学び合う姿を模索してきました。
この数学のよさを感じるために、この単元における落ちや重なりなく、調べるためのよりよい数学的表現を求め続ける学びは、重要な鍵になると考えました。
本学級の子どもたちに、4チームの総当たり戦の組み合わせを考える問題を単元の前に考えさせる機会をとりました。その中では、1対1対応させながら考えた子が3割、言葉を使って説明した子が2割、式を書いた子が1割、表を用いて考えた子が2人、樹形図を描いていた子が1人いました。
このように、様々な数学的表現を用いて考える姿が見られています。この単元の中で、子どもたちは他者の様々な数学的表現に触れながら、それぞれの事象に合わせてよりよい数学的表現を選択、または事象に合わせて発展させていきながら学び進めることができればと考えています。
この単元終了後、「並び方を考える際には、この数学的表現がいい」「重なりがあってはいけない、組み合わせを考える問題のときには、この数学的表現がいい」と、それぞれの事象をイメージしながら、数学的表現を選択することができる姿を目指していきます。
そこで、本実践では、「じゃんけんゲームをプロデュース!」という単元を構想しました。この単元では、じゃんけんゲームを開発していくことで、並べ方や組み合わせ方と子どもたちは出合っていきます。同じじゃんけんという事象を通して考えることで、この時は並び方を考えているのか、また組み合わせ方を考えているのかという違いを実感することができます。また本学級では、毎朝朝の会に置いて、みんなで挨拶をした後にじゃんけんをする時間があります。このように、子どもたちにとってじゃんけんはとても身近なもので、それぞれがイメージしやすい事象であると考えられます。前の時間のじゃんけんの事象と比べる時間を取ることで、前の時間の数学的表現との違いというのも明確になるのではないかと考えています。
算数における、ゲームの開発をする単元は、5年生の時に「整数の性質」の学習において、「オリジナルトランプゲームをプロデュース!」という単元を学習しています。子どもたちは、この単元の中で、整数における約数と倍数、偶数と奇数などについての性質を見いだしながら、0から36の数字が書かれたトランプカードのゲームを開発してきました。さらに、6年生では「比」の学習において、「くじ引きゲームをプロデュース!」の単元で、くじ引きゲームのあたりとはずれの比を操作するなどの学びを行ってきました。それぞれゲームを開発する中で、数学的な見方・考え方を働かせながら、ゲームのルールなどを調整し、学び深める様子がありましたが、目的意識が低くなってしまい、学び進める中で出てきた選択肢からゲームのルールを調整する際の判断基準がぶれてしまうことがありました。今回はそれに相手意識を加えた実践にならないかと考えました。そこで今回は、開発したじゃんけんゲームを高学年、もしくは6年生の他のクラスに紹介するという文脈を作っていこうと考えています。そうすることで、パターン数の多いじゃんけんゲームや、じゃんけんの出してや出し方が難易度に影響するため、その学年のよりたのしみやすい条件にするためには、という視点が生まれるのではないかと考えました。
それでは、具体的な単元計画について説明していきます。
単元の導入、1時間目はじゃんけんゲーム開発の見通しを立てていきます。ここでは先ほど説明した相手、意識における開発したじゃんけんを誰に伝えるのかというふうに、相手を明確にする時間、そして、様々なじゃんけんゲームを開発してみることで、じゃんけんにおける視点を生み出していこうと考えました。
2、3時間目では、子どもたちが開発したじゃんけんの中から順列を考えるものを取り上げ、そのパターンについて考えていきます。
4、5時間目では、子どもたちが開発じゃんけんの中から組み合わせを考えるもの取り上げ、重なりがないように考えるためにはどうすればいいか調べていきます。またこの段階において、自分たちが設定した相手にとって、どのじゃんけんが適切か選びながら学び進めていきます。
最後に6時間目では、この単元で学んできた落ちや重なりなく、調べる方法について、他の事象を取り扱うことで、並び方や組み合わせを調べる方法について理解を深めていく時間をとっていきます。
次のブログから実際に1時間目において、子どもたちがどのようなじゃんけんを開発したのか、また、どのような相手意識を持っているのかに触れながら、単元の実際について紹介していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
算数科 津川 郷兵
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