対称の授業①

公開日: 2018年6月22日金曜日

今日から「対称な図形」の授業について書いていきます。

本実践についての説明についてはこちらをご覧ください ←クリックで前回の投稿にとびます。

第1時は「麻の葉模様」という模様から図形を見つけさせ「美しい図形」と「美しくない図形」に分類させます。「麻の葉模様」とは、頂角が120°で底角が30°の二等辺三角形を敷き詰めた図形です。
この図形からは,正三角形,ひし形,平行四辺形,台形,たこ形,矢じり形など,これまで習ってきた図形も含めて様々な図形を見つけることができます。(下図はその一部)
見て分かる通り線対称な図形,点対称な図形,どちらともいえる図形,どちらともいえない図形をまんべんなく見つけることができます。これらを「美しい」か「美しくない」かで分けていきました。

子ども達からは当然「美しいってどういうことですか?」という質問が出ましたが,それぞれの感覚でよいということを伝えました。

子ども達は「すべての辺の長さが等しいと美しい」「真ん中で折ってぴったり重なると美しい」「回転させても同じ形だと美しい」「二つに分けた時右と左のバランスがいいと美しい」など色々な「美しさ」に基づいて図形を分けていきました。
私からは「美しさ」には色々な捉え方があるので,それぞれの「美しさ」は認め合おうと伝えたうえで,大多数の子どもが「美しい」と感じた「線対称な図形」と「点対称な図形」についての定義を伝えました。

また,対称はその美しさから様々なロゴマークに使われているということを紹介し,この単元の終わりには「自分だけの美しいシンボルマーク」をみんなに作ってもらうことを伝えました。子ども達からは「いぇ~い!」という歓喜の声が聞かれたので,乗ってきてくれてよかった~と安心しました。

ちなみに、授業日は奇跡的に6月5日(ロゴの日)です。

最後に、なぜ本時で「麻の葉模様」を扱ったのかちょっと解説します。
利点は次の点などが挙げられます。
① 「図形」を意識して対称についての学習を進めることができる
② 「美しくない図形」を見つけることができる
③ 既習の図形がまんべんなく含まれる

①について
本実践は,最終ゴールに「シンボルマーク作り」があります。これは,ただ対称な図形について学ぶだけのコンテンツベースの学習ではなく,何かを成し遂げようとする文脈の中で「対称性」について学んで欲しいというコンピテンシーベースの学習にしたいと思い,設定しています。ただ、「シンボルマーク」というイメージが強すぎると,子どもたちはお絵描き感覚で対称なマークを描きます。デザインが凝りすぎていると,そのマークを対象として「対称」についての性質をしっかり学びとることが出来なくなってしまいます。「麻の葉模様」から見つけ出される様々な図形は,「図形を基本として対称性について学んでいこう」というメッセージを暗に子どもたちに伝え,程よい「枠組み」を与えてくれるのです。

②について
「美しさ」とは相対的な感覚で,「美しくないもの」があるから「美しいもの」がより引き立ちます。一般的に教科書などでは,対称な図形のみを扱って学習が進みますが,子ども達は当たり前のように与えられたそれらの図形を「美しい」と意識してみているでしょうか。自らが分類した「美しい図形」を扱うことで「対称性」の美しさを感得する学習となると考えます。

③について
本単元のねらいは,「対称な図形の性質を理解し,作図することができること」のほかに,「対称性という観点から既習の図形について見直すことで,新たな図形の見方ができるようになること」があります。この2つ目のねらいを超自然な文脈で達成できるという利点があるわけです。しかも,正三角形や正六角形も含まれるので,正多角形と対称の関係にも迫ることができます(これについてはまた次回書きます)


ちょっと長くなりましたが,今回はここまでにしておきます。次回は,線対称な図形の特徴を発見していく子どもたちの様子について書いていきたいと思います。

大林 将呉


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