数の世界を広げよう(数と計算の探究)「99個のリンゴゲームをプロデュース!」2時間目
公開日: 2026年2月4日水曜日
算数科の津川です。
「99個のリンゴゲームをプロデュース!」の2時間目に入りました。この時間では、「−」という演算カードを用いることで、負の数の存在を認知し、「マイナスとは何か」を子どもたちなりに表現することで、未知の状況に対して今まで使ってきた数学的表現を活用できることを実感することをねらいとしていました。
まずはゲーム作りにおいて、共通のルールとして変えないところを確認しました。
このルールを確認した後、1人の子に前回の振り返りを読んでもらいました。C「今日は 99個のリンゴゲームをしました。今回のルールは、 1から 10までのカードをそれぞれ 60枚用意して、手札 4枚、 1枚出すたびに1枚引く、場に出すカードの合計が 99 になるとその人から脱落する。計算はみんなでする。それでも面白かったですが、できたら手札のリンゴのカードをそれぞれ5枚にして、1つのリンゴを引くカードを作るともっと面白くなると思います」
T「さっきのカードっていうのは?」
C「食べるカード?」
ここで、マイナスの記号が書かれたカードを紹介し、このカードのことを演算カードといことを共有しました。こうすることで、数カードと演算カードを区別して用いることができるようにしたいと考えました。
その後、代表の子たちに1、2、3、7、8、9がそれぞれ書かれた数カードを6枚ずつ、計36枚、残りを「−」と書かれた演算カード14枚として渡し、(子どもたちには、それぞれのカードが何種類ずつ入っているかは教えていませんでした。)実際に試しのゲームをしてみる中で、演算カードが山札の中に入ったときのルールを確認することにしました。この意図としては、まず演算カードを多くすることで、新しく出てきた演算カードの存在を子どもたちが強く認識し、それらのカードが出てきたときの状況を、きちんとしたルールとして位置づけることができるようにしたいと考えたからです。また、10以下の整数の中で開きのある6つの数を選んだことで、負の数へと拡張することをねらったためでした。
C「マイナス」
C「次もマイナス」
C「マイナスが2になったよ」
C「マイナスにマイナスしか出してない」
C「引き算の引き算」
C「これだと食べるリンゴがないね」
C「0になる」
T「じゃあ最初に演算カードを出すのは無しにしようか」
このように1番最初に演算カードを出すことや、演算カードの後に演算カードを重ねて出すことは無しにしようということを共有していきました。
また、演算カードを14枚も入れていたこともあり、手札が全部演算カードになってしまうというような状況もありました。このような状況を見ていて、「演算カードをあまり入りすぎるのもよくない」というようなことをつぶやく思いました。
演算カードばかりが手元にあるような状況になってしまったので、一度それらのカード山札に戻し、もう一回、1からゲームを行ってみることにしました。すると、合計の数が2という状況から次の子が演算カード(引き算カード)を出し、その次の子が8というカードを出した状況が生まれました。これは多くの子たちにとっては、未知の状況となりますが、一部の知っている子たちは「− 6になるのではないか」と予想を立てる姿もありました。その状況を見取り、子どもたちはよく「マイナス」という言葉を多用していたので、私から「そもそもマイナスって何?」と問い、この時間に考えることを焦点化していきました。
C1「マイナスってなんだろう」
C2「プラスじゃないってことだよ」
C2「2−8ってなんだろう?」
C「マイナスはマイナスだからなあ」
(全体で)T「今、0より小さい数って言っていたね」
このように、個で解決をする際には数直線で表そうとする子がたくさんいました。
T「リンゴにマイナスってあるのかな?」
C「マイナスはないと思う」
C「食べてないってことじゃない?」
多くの子が数直線で表していたため、一人の子に代表で黒板に描いてもらいました。
ここから、−3についての意味を考え始めます。
T「マイナスになることなんて言った?」
C「-3足りない」
T「さっきなんて言ってたっけ?」
C「借金リンゴ」
C「いやレンタルりんごがいいか」
C「後払いリンゴとか?」
C「借金かあ。借金って足りないところを表しているから、いい表現なのかもしれない」
C「でもお金じゃないからなあ」
C「家賃払えなくて、延滞しているみたい」
C「返済リンゴなのかな?」
T「借りてるからどうしないといけないの?」
C「これは返さないといけないリンゴになるよ」
ここで、上の写真にあるように1人の子が「レンタル図」として− 3の部分を点々で囲んだ丸の図として表現してした。
さらに、ここまで話してきたマイナスになってしまう事象について、取扱説明書に記すにはどうすればいいか、子どもたちに問いました。すると、借金等のイメージから一度借りてしまったら、時間が経つにつれて増えていってしまうというような発言だったり、取扱説明書により、このマイナスの意味をきちんと伝えられるようにすると意見だったり、そもそもマイナス自体をなしにするというような意見もあったりしました。
まだ実際の状況としてマイナスに出合っていないため、ルールとして子どもたちに求めるにはまだイメージがしにくいのではないかと考え、一度これらの演算カードを山札に加えた状態で、それぞれの班でゲームをしてみることを提案しました。
ここからは班の様子を紹介します。
C1「マイナスカードを作らないとね」
C2「どのくらい作る?というか、かけ算カードとかも作れるよね?」
C4「計算がめんどくさくなりそうだよ」
C3「まずはマイナスカードを作ろう」
C2「どうやって作る?」
C3「まずは、マイナスだけ書いて、そのカードを出した次の人が数字が書かれたカードを出さないといけないからね」
C4「じゃあマイナス0もあるよね?」
ここから、カードを作成した準備ができたようなので、一度ゲームを始め出します。
C2「9」
C3「大きい数から出したいよね4」
ここからゲームが進んでいき、98までカウントされます。ここで、C3がマイナスカードを出しました。
C4「えっ?負けかな?」
C3「違う、マイナスカードだよ!」
C4「そうか!引き算になるのか!よかったあ」
ここの班は、マイナスカードを出して、数カードを出したらそこから順番が反対になるようなルールになっているようでした。
C2「0、とかあるともっと面白いかもよ?」
C1「もっといろんなカードを増やしたいね」
ここから、振り返りをかく時間になりました。
この時間で議論をした負の数について、足し算の計算を基にしながら考察している振り返りもありました。このように新しい演算が出てきた際には、他の演算から新しい演算の性質を眺める姿をどんどん引き出していきたいなと思っています。
この振り返りについても、足し算の意味を基にしながら考えることができています。また、数直線を共有したことによって、数直線の「0」に着目しているようです。0からの距離と捉えて、負の数を考察しているようでした。いわゆる絶対値の見方ができてきています。
演算カードを多く入れてしまうことで生じるデメリットについてもまとめています。いちどゲームをやってみることによって、ここの部分の調整がグループの中で起こっているようです。また、マイナスの世界に興味をもっているところがとても素敵だなと思っています。このような数学の世界へのきっかけをもってくれたことが非常に嬉しいです。 かけ算やわり算についても、今回初めて演算カードを用いたことで使ってみたいと考える子も出てきています。
また、小数や分数の存在にも着目し出している子どももいます。
次回からは、このような発想も取り上げつつ、このゲーム内における新しい演算と出合いながら、子どもたちのゲームの中で数が広がっていく様子を追っていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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