図を使って倍の見方を広げよう~小数のかけ算 第3時~
公開日:
2024年1月29日月曜日
小数のかけ算の第3時の子どもたちの様子をお伝えします。
前時は、様々な方法が出た上で、小数を整数になおすことで整数×整数の計算となることを確認しました。そして、図に対するそれぞれの思いも聞いていきました。
本単元では、「小数の倍」において、倍の概念を拡張していくために数直線図やテープ図が必要です。教師から図を提示して、「これを使いましょう。」とすることもできますが、子どもがよさや必要感をもたない限り、自ら課題解決のために図を使うことはありません。
提示する問題や発問等を工夫していく中で、「図もかいてみたくなる」。そのような姿を期待しながら、第3時を考えました。
第3時
本時で提示した問題は、次のような問題です。
「12.5mのテープを180円で売っています。8本買うと全部で何mになりますか。」
情報過多の問題としました。これにより、
①関係する数量に目が向くこと
②「180円」が必要ない理由について、言葉や図で説明すること
を期待しました。
しかし、結論から言うと、問題の面白さを感じることはありましたが、180円は必要のない数であることは、言葉による説明で納得していました。
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まずは、本時で出された子どもたちの考えを紹介します。
あいか:12.5を2倍して25、8を÷2して4。そして、25×4=100
をする(①)
ふみや:12.5を13として、13×8=104。0.5増やしたので、
0.5×8=4。104−4=100。(②)
この2つの考えは、予想していませんでした。子どもの数に対する感覚の豊か
さに驚きました。この2人は×10をすると125になることは理解していまし
たが、「できる限り小さい整数にしたい」という思いがありました。
きりと:12.5を12と0.5に分けて、それぞれ計算する。そのあと
たして100。(③)
ひでこ:12.5を10倍して125×8=1000。10倍をしたから答えの
1000を÷10して、100(④)
てつや:筆算で12.5×4をする。(⑤)
ういか:12.5を10と2と0.5に分けて計算する。(⑥)
これらの考えは前時でも出た意見だったので、すぐに納得しながら発表を聴いて
いました。
そのあと、図で考えたというあやさんの発表がありました。
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あや :私は、丸図で考えました。
C :え?大変じゃない?
あや :あれ、えーと。そうじゃなくて…。この〇が1で…、これが12こ。
そして〇の半分が0.5。そしてこれが8こあれば、12.5×8
になる。
こうた:え?でも。それってさぁ。面倒くさいんじゃないの?
あや :うん。そうなんだけど、図で考えたらこうなるかなって。
T :なるほど。自分でやってみて、確かめたんだ。
あや :はい。丸の数を数えればいいけどめんどくさい。
T :そうかぁ。そういえば、かずやさんも、図をかいていたね。
(かずやの図を確認する。)
はるこ:その方がいい。かけ算ってイメージできるから。
T :そうだったね。そういう図は「式を立てられる」っていうんだよ。
でも、やっぱり面倒くさいって意見も多いよね。これまでの学習で、
かけ算を使うときに、面倒じゃなくて、分かりやすいって図はなか
ったかなぁ。ちょっと、学びの足跡を振り返ってごらん。
第3時の板書
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ここでデジタル版の学びの足跡を振り返るよう促しました。それにより、
整数の倍の時に考えた子どもたちの表現を自分たちで振り返り、丸図以外
の数学的表現に注目させようとしました。
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りょう:倍の計算の時の、あやさんの図が使えるかも…。
T :あやさんの図?どんな図?
(あやさんの図を提示)
T :なるほど。これならできそうなのかな。みんなどう?
C :うーん。確かに面倒くさくはなさそうだけど…。
C :なんだかよさそう。
C :いや、かけ算のイメージはあんまりしない。3列あるし。
T :ちょっとまねしてかいてみようか。
(それぞれがノートのかいてみる)
T :どう。この図で12.5×8っていうのが見える?
りょう:ここの矢印のところに8倍ってすれば12.5×8ってわかる。
はるこ:あ~たしかに。
しゅう:たしかに分かりやすいかも。
C :え?分かりにくくない?
C :俺もちょっとまだ微妙。
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提示した問題からは、図のよさや必要感をもたせることはできませんでしたが、図を発表したことをきっかけに、「立式する際にどんな図がいいのか」を検討しました。
図は問題を解決したり説明したりするためのものなので、図自体について話し合うことは、あくまでも流れの中で行うようにしています。
緩やかに、自然に、4年生の子どもたちが抽象的な数学的表現であるテープ図や数直線図のよさを感じていってくれればと思いました。
ちなみに、次時の第4時は、小単元「小数のかけ算」の最後の時間です。そのため、筆算の習熟が中心としていきました。
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