ジャンケンゲームをプロデュース!3時間目
公開日: 2025年12月3日水曜日
3時間目になりました。この時間では、並び方の中でもすべての並び順ではなく、その中から決まった数だけを取り出して並べる事象について考えていきました。具体的に、今回扱う事象は「じゃんけん神経衰弱」です。これは、1時間目の時から開発を行っている班がありました。ルールとしては、複数のグーチョキパーがかかれたカードを裏返して、バラバラに置きます。その中から1枚めくって出てきたカードと、その後にもう1枚めくって出てきたカードのじゃんけんを見て、もし2回目にめくったカードがじゃんけんに勝つような組み合わせの場合、そのひっくり返した2枚のカードをもらうことができるというルールでした。例えば、1回目にグーを引いた場合、2回目にパーを引くと、その引いた2枚のカードもらうことができます。しかし、1回目に引いたカードと2回目に引いたカードが引き分けや負けの組み合わせの場合、そのままそのカードもらうことができずに、次の人の番になります。最終的に、1番カードを持っていた人が勝ちというようなルールです。
このゲームを開発した班の子に、このルールについて書いている振り返りを読んでもらうところからこの時間を始めました。
C「今日は、じゃんけんゲームをしました。私たちの班はグーチョキパーとそれぞれが書いているカードがあり、それをグーが出たらパーを出さないといけない。神経衰弱になるゲームです。勝つ組み合わせを選ぶと言うことです。もし、チョキを出したらグーを出さないといけません。簡単に言うと普通のじゃんけんのカード版です。5年生なので説明をしやすいと思います。」
T「神経衰弱って覚えてる?」
C「同じカードを引かないといけないやつ」
T「あと何年生って言ってた?」
C「5年生向けって言っていたね」
T「今のゲーム、イメージできた?」
ここで、このじゃんけん神経衰弱のルールをみんなで確かめるために、グーチョキパーそれぞれ3枚ずつ用意したカードを裏返しにして、黒板に貼り、みんなでこのゲームをやってみることにしました。
C「パーが出た」
C「次はチョキが出たよ」
C「この場合はあたりになるね」
C「チョキ」
C「パー」
T「じゃあこのまま戻してください」
C「チョキ」
C「グー」
T「じゃあこれは?」
C「もらっていい」
C「勝ったからね」
C「先生、あいこだったらどうなるんですか?」
C「確かに」
C「もう一回?」
T「確かに、あいこだったらどうなるんだろうね」
C「そのまま、負けと同じような形になります」
C「そういうことか」
T「今、あいこのパターンもあれば、当たりのパターンもあれば、ハズレのパターンもあるってことね。これ、当たりやすいの?ハズレやすいの?」
C「えー、、どうなんだろう」
C「わからない」
C「ちょっと待ってください」
C「1回目だったらハズレやすいとか?」
T「じゃあこれさ、当たりやすいとか、ハズレやすいとかどうやったら調べられるの?」
C「1枚とってって考えれば・・・」
C「場合分けすれば・・・」
C「3、3、3って考えるといいよ」
C「2回目まで同じなのかな?」
T「全部で何パターンあるんだろうね?」
ここで、子どもたちは全部で何パターンあるのか、それぞれで考え始めました。
C「これ、当たりやすいんじゃない?」
C「そもそも同じカードの枚数なんだよね」
T「それぞれのじゃんけんの種類は同じ枚数だよ」
C「これ、当たる確率は3分の1だね」
C「取ったカードがグーだったら、2回目に引くとき、グーの枚数が減っちゃうよね?」
C「だとしたら、同じカードを引く確率が下がってしまうよ」
C「最初にパーを出して、そのあと出てくるのはグー、チョキ、パーになるから、これ自分たちが考えた後出しジャンケンと同じじゃない?」
C「先生質問です。グーチョキパーって同じ種類として考えますか?」
T「同じ種類だったらどうなるの?」
C「全部にグーの①、②、③って名前をつけていくと全てのパターンが変わってしまう気がして・・・」
C「これ、ずっとあいこと負けが続いたら樹形図が終わらなくなってしまうよ」
みんなで、このじゃんけん神経衰弱を体験したからこそ、その状況に即して、いろんなパターンが出てきました。確かに、神経衰弱はすべてのカードを取り終わるまで終わらないゲームになっているので、私以前1回目2回目まで考えるといいと始め想定していたのですが、残りのカードの枚数まで考慮して、しっかり数えようとする姿が子どもたちにありました。課題として、1人の人が初めの1回2回とひっくり返すときのみを考える場面に焦点化していたのですが、そこの想定の甘さを反省しております。子どもたちがこのように考えている間に、次の2つの図を黒板に描いてもらいました。1つは、樹形図、もう一つは前の時間に出てきたゴリ押し図になります。
T「この図の名前はなんだったかな?」
C「樹形図」
C「こっちはゴリ押し図」
T「今回は式はどうなるかな?」
C「この前は3×2×1みたいな感じ」
C「今回は3×3になるよ」
C「パーグーチョキで3通りあって、そこからまたパーグーチョキって3通りあるから3×3になるよ」
C「初めの3は左側はパーグーチョキを表しています」
C「残りの3はその次の選び方になってる」
このように、式と樹形図を対応させながら、その式が表している意味について考えていきました。
ここで数名、全部のカードを別々のものとして考えている方法がありましたので、その子の考え方も紹介することにしました。
T「今考えていたことを説明してもらってもいいですか?」
C「例えば。カードが 9枚あった時に、で、グーチョキパーが 3つあったら、最初にもしグーが出た場合に残り 8枚だから、1回目にグーが出て2回目グーが出たらそれって8分のいくつっていうふうになるのかな。なんか 1個減るからグーが」
C「一個?」
C「だって最初一個減る」
C「ああ、そうかそうかそうかそうか。」
C「1回目にグーが出ると、2回目にグーが出る確率が下がる」
C「まあ、言ってる意味わかった」
T「これだと全部のグーが同じ種類ですか?」
C「グーはグーでも違うグーになるよ」
T「となるとあいこが出る確率は?」
C「少しだけ・・・」
T「少しだけ低くなってしまうね」
C「グーにも名前をつける。グーA、B、C。それぞれに名前を付けて。チョキD、E、F。みたいな感じです」
C「これは1番のグーですよ。2番のグーですよ。名前を付けて」
T「ってなったら、全部番号をつけてくれて考えている人もいたけど。何通りって言った?最初。72通りあるんじゃないかって」
C「えー!?」
C「同じこと言ってる!」
C「どういうこと?」
C「なんで?」
C「全部、全部?全部バラバラにしたら。72通りあるときは」
C「24通りじゃない。」
C「27通りだ。パー、パー、パーと、いうことで3を3回かけるよ」
T「72じゃなかった?1回目にこのグーを取ったとすると・・・」
C「あっ9×8だ、72通りだ!」
ここで、実際にやってみると、どのようなパターンになるのか、実際にじゃんけん神経衰弱をしながら確かめてみる時間を取りました。
そして、最後に前の並び方との違いを樹形図の形などに着目して考える時間を取りました。ここで前はABCDと違う人の並び方、今回はグーチョキパーのカードが全部同じ同じものとして見るとき、また違うものとして見るときでパターンが違うということを確認しようとしました。
その時間の振り返りは、以下の通りです。
この振り返りを書いた子も、上の振り返りを変えたこと同様な価値を感じている様子が見られます。
前回の並び方におけるごり押し図の数学的表現を基にし、今回の事象との違いに着目している姿も見られました。
今回の同じものとして見るまたはバラバラのものとして見るという見方から、重複という言葉を用いて表現する子もいました。この見方は次の組み合わせの見方とも共通してくるものなのではないかと感じています。
この時間で共有した新しいじゃんけんの仕方をもとに、発展させて考える姿もあります。負けの場合、1枚カードを戻すとなると、また樹形図自体も発展しそうだなと感じました。
この1時間で自分が初めどのように考え、その中でどのような友達の考えのよさに気づいたのかをまとめている姿もありました。このような姿がこの時間で見出した数学的価値として自覚することができるのではないかと感じています。
さらに、複数の子どもたちが神経衰弱のようなゲームでは、グーチョキパーだけでなく、もっと手を増やしたほうが面白くなるのではないかということを見出しています。特にこの子は4手じゃんけんを1時間目の時から見出している班にいる子で、そのじゃんけんのよさを、今回のじゃんけん神経衰弱のゲームに生かそうとしている姿なのではないかと感じています。
次の時間では、この4手目が出てきたときに、じゃんけんのバランスはどうなるのか、そのじゃんけんのよさを探りながら、落ちや重なりなく調べるためのよりよい数学的表現を見出していくことができればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
算数科 津川 郷兵
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