6年 比 「くじ引きゲームをプロデュース!」第6時
公開日:
2025年5月21日水曜日
算数科の津川です。
この時間から実際にくじを作っていく活動を通して、比の利用を考えます。
特にこの時間は、比を基にしてどちらか一方の量が明らかなときの、他方の量を求める方法について考えていきました。
まずはあたりとハズレの比率について考えるところから始めました。
T「あたりとハズレってどのくらいの割合がよさそう?」
C「10%」
C「6分の1」
T「それ、比で表せる?」
C「1:9」
C「1:50」
C「1:4」
C「1:900」
C「1:10」
子どもたちは思い思いに自分がいいと思った比をつぶやきました。子どもたちはハズレが多い方が面白いと考えているようでした。その中で次のつぶやきもありました。
C「1:1」
C「全部あたりだね」
C「全部じゃないよ。半分だよ」
C「50%で当たるね」
C「2個だったら、あたりが1個でハズレが1個でるよ」
このように、1:1の話も出てきました。ここで、全部があたりという言葉も出てきたように、比とその具体的な場面は確実につなげて考える必要があることを改めて実感しました。
ここで、具体例としての数値を提示しました。
T「あたりとハズレの比が3:4だったら?」
C「おーあたり易くなったよ」
T「あたり易くなったんだね」
C「だってあたりが増えたよ」
C「あたり易すぎる」
C「いや、はずれやすいよ」
C「確率的には、はずれやすい」
C「75%の確率であたります」
全体量を1として取り扱う時間は次の時間になります。そのため、3:4の比自体からハズレの75%を全体量の75%として捉えている子もいるようです。
ここで、あたりの数を提示しました。
T「もしもあたりの数が12個だったら?」
C「ハズレは・・・16個かなあ」
C「28で考えると・・・」
このような説明も聞こえてきました。そこで、「あたりが12このときのハズレの数は何個?」と課題を設定して、それぞれでその計算をする時間をとりました。
ここからは班の活動になります。
しんじ「12個で、3でしょ。そして、ハズレが?で4かあ」
しんじ「図だったらどういなるかなあ」
れいと「比の値ってさ、値が12のときに4をかけて、3で割ったら答えが出るよ」
分数のかけ算の操作を、詳しく説明しているようでした。
れいと「答えは16個になるよね」
ここで、子どもたちそれぞれが様々な数学的表現を用いて考える姿が出てきたので、全体で共有することにしました。
まずは、下の写真の考えを書いてもらいました。
この考えを黒板に書いた際に、子どもたちは文字でおいたことに対して疑問に感じているようでした。ここで、前の単元で学習したことを振り返り、今回は「わからない数」があるから文字でおくことができたことを確かめました。
次にこの考えが出てきました。これは比の値を用いて考えていました。子どもたちと3分の4が比の値であることを確認したのですが、3:4の比の値は4分の3であることを確かめました。このことから3分の4を表している比は4:3であることを確かめ、この12×(3分の4)は、あたりを1として考えているということを確認しました。このように、比と比の値を基に、比較量と基準量を抑えていきました。
ここから、アレイ図と比の計算をつなげた表現と、あたりとハズレそれぞれの比と具体的なその数を対応させている表を子どもが黒板にかきました。
すると、「もう1人の子が、似ている表現があります」と下の考えを黒板にかきました。
ここで、これらの考えを統合してみることができるようにしたいと考え、子どもたちに問いかけることで働きかけました。
T「これらの図で共通しているところって何かな?」
C「全部図で表現しているよ」
C「比例しています」
C「片方が4倍だから、もう片方も4倍になっているね」
C「片方が⬜︎倍だと、もう片方も⬜︎倍になっているよ」
T「比の片方を4倍すると、もう片方も4倍することをなんて言ったかな?」
C「簡単な比?」
C「等しい比の関係です」
ここから、それぞれの班のくじの比を考える時間をとっていきました。この時間で見いだした数学的な見方・考え方を働かせるために、以下の3つのルールを確認しました。
今回は試しのくじとして、本番で使う玉の使用はしませんでした。下の写真のように簡易的な紙を用いてくじを行っています。というのも、本番のくじ引きの玉は数の制限があります。(総数を1とした見方を用いてくじの総数を求める学習につなげるためと、数が少ないからもっと足し合わせたいという思いを高めるためです)
しんじ「くじどうする?」
れいと「15:1がいい」
しんじ「せめて30%にしたくない?当たるかわからないドキドキ感がよくない?」
なつき「15:3」
しんじ「絶対30%の方がいいよ。9:3かなあ」
れいと「12:3」
なつき「くじは何枚必要?」
しんじ「20枚でいく?23枚でいいかな?とりあえず比を決めよう」
なつき「どうしようか」
しんじ「30%がいいよ」
れいと「5:1がいいよ」
しんじ「えーっと・・・」
T「30%なら残りは何%?」
子どもたちは百分率の話をしていて、残りの比を計算するのに困っている様子でしたので、このように言葉をかけました。
しんじ「70%だ!3:7でいこう」
しんじ「だから、9と21だから・・・30枚!」
なつき「(今23枚あるから)あと7枚必要だよ」
なつき「もうくじを作り始めるね、ハズレは21枚?」
しんじ「あたりが9だから、あたりを作るね」
しんじ「やっぱ40%にしよう、4と6だよ20枚に減らそう」
なつき「あと8枚あたりを作ろう」
れいと「1回ずつ折ってくじを作ろう」
なつき「混ぜてみるよ」
ここから、くじを試してみる姿がありました。しんじさんとれいとさんはよく当たっている様子でしたが、なつきさんはなかなか当たらない様子でした。
しんじ「当たらないなあ!」
れいと「当たった!」
なつき「さすがにあたりでしょ、一回もあたりが出ないよ」
しんじ「はい、当たったよ」
ここで、実際に次の時間から玉を用いてくじを作ることを伝え、算数図日記をかく時間をとりました。
このように、くじをいざ作ってみるとなかなか当たらないと困っている振り返りが多く見られました。活動中のなつきさんもきっと同じような気持ちだったのではないかと思います。
比からくじの個数を求める際に、比の値を応用して求める姿もありました。そのよさを実感して算数図日記に言語化しています。
共有してきた図から自分なりに発展させて考える姿も見られてきています。感じた数学的価値を基に新たな表現方法をつくりだす姿が素敵だなと感じています。
次の時間は、実際の玉を扱いながらくじを作っていきます。
全体の総数の制限がある際に、比を用いて自分たちのくじを全体を1として捉えて考える姿を追求していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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