「角柱と円柱」×「変わり方調べ②」 前半単元の構想(令和6年度研究発表会に向けて⑤)
公開日: 2025年1月4日土曜日
算数科の津川です。
今回は、「つまようじタワーを設計しよう!」の前半部分にあたる「角柱と円柱」の単元の構想についてまとめさせていただきます。
以前のブログでもお伝えさせていただきましたが、この単元に入る前に他教科において自然災害に目を向けさせています。そして、この単元の導入で「つまようじタワー耐震コンテスト」の動画を見せ、自然災害から防災・減災に着目することができるようにします。タワーを製作するという見通しが立った段階で、どのような形がいいかを問います。
おそらく子どもたちからは、既習事項の直方体などの形が出てきたり、中には円柱はまだ馴染みのある言葉なので出てくることが予想されます。(子どもたちにとって、頑丈な形のイメージは三角形やもしくは六角柱、八角柱あたりでしょうか。)それぞれの形の名前が出てきた段階で、各班に三角柱、四角柱、六角柱、円柱の紙で作成したモデルを配付します。実際に配付した中で、どの形を作りたいかをモデルを触りながら話し合っていきます。その中で子どもたちが使う言葉「辺の数」や「面の数」、「角の個数」などの言葉に立ち止まり、その言葉を教師から側面や底面、頂点、などの言葉として再定義していきます。また、底面の形へ話題が広がった段階で「角柱」の言葉も合わせて、教師からラベリングをしていきます。それらの言葉を、子どもたちが自分たちの根拠として自在に用いることができるような教師の関わりを目指していきます。このようにして、子どもたちから出てきた言葉を基にしながら数学の世界を広げていきます。
また、「どのような形が強そうか」についても子どもたちに問うていきます。そうなった時に予想されることが、「揺れても倒れない形」「重さにも耐えられる形」などです。その根拠を子どもたちに語らせる中でそれぞれの形だけでなく、図形の構成要素のそれぞれの個数に着目して形同士の関係にまで着目させていきます。オイラーの多面体の定理『(頂点の数)−(辺の数)+(底面の数)=2』にも気づくことができるといいなと考えています。この定理に気づいていく過程で大切になってくるものが表です。本時でも重要になる数学的表現になりますので、子どもたちから丁寧に引き出していきたいなと考えています。表を用いて考えることで、きまりを見いだして式まで導くことができると本時の学びに近い様相が見られるのでは期待しています。そのためには、そのような見方・考え方を働かせている姿をしっかり見取り、価値付けることが重要になっててくると考えています。
話が戻りますが、モデルの角柱や円柱の面積はおよそ揃えておく予定ですので、揺れても倒れない形は、今の状態では実験不可能になります。そこで、重さに着目して実験を行います。1班4本程度、自分たちの班が選択した角柱(もしくは円柱の)同じ立体を作製していきます。その過程において、展開図を描くことを学んでいきます。全体では三角柱と円柱の描き方を共有した上で、それぞれの形の作成を行なっていきます。この展開図の製作過程において、子どもたちは柱における「高さ」の言葉も獲得していきます。
そして、それぞれの班で1Lずつの水が入ったボトルをそれぞれの班がつくった角柱や円柱に載せていきながら実験を行なっていきます。この実験は、徳島県立城南高等学校の学生さんがまとめている論文をもとにしています。(形状と強度〜有効な耐震強度を目指して〜§1形状探求編)この論文では4本程度だと、円柱が一番強いことが示されています。(六角柱の強さ同様に示されています。)子どもたちは多角柱が多ければ多いほど耐震性に優れているのではないかと感じ始めるでしょう。
その気持ちをもった上で、つまようじタワーの1階部分を製作する時間に入ります。つまようじタワーを実際に作ってみると、中々安定しないことにも気づいていくことも予想されます。試行錯誤をしながら、1つ形を決めていきます。この試行錯誤の中では、筋交に着目しだす子どもも出てくることが予想されます。そのような形も含めて、本時の中で式化するために着目するポイントを、それぞれの異なる形を比べていく中で捉えられるようにしていきたいと考えています。
「角柱と円柱」の配当時間は7時間になっています。
紙で作成する角柱や円柱の実験までを4時間、試行錯誤をこなう時間を2時間、1階部分の決定と完成を1時間で考えています。
合わせて、それぞれの班は設計図を描いていきます。(1階層部分の見取り図と展開図を描く欄が設けてあります)その設計図は初めは「材料の注文書」の役割を果たしていきます。「このような形になるから、材料となるつまようじはこのくらい必要になります。」ということを崇城大学様に伝えるためのものです。その設計図に本時においては、さらにもう1つの思いものせて届けることができるようになってほしいと考えています。
ここまで、「角柱と円柱」の単元をざっくりと説明させていただきました。まだ子どもたちの実際の様子を見ながら単元はリデザインされる予定ですので、リアルタイムに更新していくことができればと考えています。
この後展開される本時につきましては、指導案に詳しく掲載していく予定です。来週から冬休みが明ける学校も多くなることと思います。私自身も今月末にこの単元に入っていきます。その時にまたブログの更新をしていきます。
年末から五日間にかけて、連日の投稿を読んでいただきありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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