数のまとまりをつくり出そう(第10時~第11時)
公開日: 2025年11月7日金曜日
本校算数科の内田です。
今回は、3の段の構成についてお伝えします。
本時はわくとさんの3×6写真を扱いました。3の段及び5の段は、写真のような「並べてある事象」を扱うことにしています。それは、並べてある事象だと、交換法則や分配法則で考察しやすい、つまり、まとまりをつくり出すことがやりやすいからです。
さて、提示したのは下の写真です。
| 提示した3×6の写真 |
これを提示した際、早速子どもたちから「6×3だ!」「9×2だよ」「3×6じゃない?」などの声が聞こえてきました。「2×9」というつぶやきはなかったことから、子どもたちは、「まとまり」の捉えが、「並んでいる」という捉えに近づいていることが分かります。
今回は、かなり多様な考えが出されました。
| 第10時の板書 |
前時と比べて新しいのは3とびです。子どもたちにとって、とても分かりやすいものだったようです。また、分配法則(写真右端)も出されました。最初に分配法則をしたあやさんの方法をきっかけに、ふうかさんは、アレイ図に表して分配法則で解決しました。
子どもたちの解決する姿を見ていると、「新しいもの」を生み出そうという姿を感じました、とても素敵な姿だと思うのですが、それは「表し方」が異なるだけで、考え方自体は同数累加であることが多いです。
子どもたちが「多様な考えをたくさん見付ける」になっていくと、かけ算の意味に基づいて考えたり、計算法則を意図をもって使ったりすることにつながらなくなる可能性が出てきます。
そこで、第11時では、「自分にとってのお気に入り」を見付けるようにしていきました。
| 第11時 |
導入で、「前の時間は4つの方法を使って、3×6まで明らかにしたね。」というと、ゆうやさんとれいあさんが「どれが分かりやすいんだろう?」とつぶやきました。この言葉をきっかけにめあてを立ち上げていきました。
「分かりやすい=求めやすい」という意味だということを確認し、解決にうつりました。
子どもたちのやり取りの2つの場面を取り上げたいと思います。
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分けかけたし算の場面
T :同たし算以外の方法はありましたか?
ゆい :(3つの丸を9つ並べる)3×3=9で…、9+9=18 18+9=27
とうま:あ~、そう分ければいいのか。
T :とうまさん、「あ~」て言っていたけど…。とうまさんはどう考えたの?
とうま:4と4に分けてあまりの1こをたして…。
あおと:4と4と1ってこと?
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実は、とうまさんは、分配法則(分けかけたし算)の「分ける」とは均等に分けなければらないと考えていたようでした。
このあと、「3つにしないと分けられないの?」と問うと、9を4と5に分ける、9を3と6に分けることもできると確認していきました。
そして、最後に3とびを扱いました。
すずかさんは、3×1の3から3とびで考えていましたが、しんたさんは3×6=18に3をたすしていくという方法をしていました。
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しんたさんの考えを聴いた後の場面
C :あ~なるほどね。
C :3×7から始めたんだ!
T :どうして3×7からはじめたんだと思う?
わくと:だって、3×6は、もうならっているから。
C :たしかに。
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このように、「すでに明らかになっていることを用いる」ことができてきた子もいるようです。
算数絵日記では、多くの子どもが「自分のお気に入り」に関して書いていました。ただ、どこまで言語化できるのかは、個人差があると感じました。また、4・4・1の分け方については、「均等にすべき」と思っている子も多いように思いました。
5の段の学習や3×15の場面において、これらの姿が変容していくとよいと思います。「『なんとなく』求めやすい」から「○○な時に分配法則が使いやすい」などの姿が生まれてくるといいなと思うので、「お気に入りの理由」や「着想」について、問い返していく必要があります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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