数のまとまりをつくり出そう(第8時~第9時)
公開日: 2025年11月7日金曜日
本校算数科の内田です。
今回は、4の段の構成についてお伝えします。
前回の考察で「見ようとしているもの」が違うかもしれないと書きました。様々なまとまりで解決したい子どもと、ある一つの段(今回は4の段)で解決を促したい教師との「ずれ」をいかにして自然な形で埋めていくのか、この点が重要だと思いました。
そこで、より「4のまとまり」を意識するような場面を提示することにしました。
れいあさんが見付けた駐車場の写真です。
| れいあさんが見付けたかけ算 |
この場面であれば、「1台に4本のタイヤ」というように、より「1つ分」が意識できます。また、4×4なので、交換法則が使えず、4の同数累加による解決が表出するはずです。
解決にうつると、予想通り、4+4+4+4で解決する姿が多く見られました。一方で、8+8で解決する子もいたので、4+4+4+4の後に取り上げました。
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T :まだありますか?
りんこ:図を書いて、8+8にして4×4=16。
C :あ~8のまとまりね。/そうそう/わたしも同じ。
C :8×2と答えが同じになるね。こっちの方が楽にできる。
T :そうだなんだ。どうして楽なの?
C :だって、かける数が小さいから。/4を4回より楽。
T :なるほど。でも、8×2ってどんな場面なんだろう?
C :たしかに。2台に8本?ん?
T :ちょっと、近くの人と、この場面の8×2について話してごらん。
(近くの人と話す)
T :難しい?
とうま:1台のレッカー車に2台車が停まってタイヤが8本。4台で何本?
C :あ~…。
C :え?でも、レッカー車のタイヤは?/それって8×2??
しょう:わかった!できる!「白い車2台でタイヤが8本。黒い車が2台でタイヤが8本。合わせて何本?」だ
C :あ~確かに。いいねぇ。
T :ちょっとブロックで表してみるよ。どうなるの?
(しんた:ブロックを動かす)
T :なるほど、2台で「1つ分」なんだね。
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このようにして、一度場面に戻してみました。すると、やはり8×2にするのは、なかなか難しいようでした。
「1つ分」は何か、を意識させたかったので、場面に戻りましたが、「1つ分を2台の8本とする」については、納得している子とよくわかっていない子がいました。場面に戻るのは、有効ではなかったように思います。
| 第8時の板書 |
さて、第9時では、しょうさんの算数絵日記を読むことから始めました。しょうさんは、授業後、1人首をかしげていました。話を聴くと「自分でいったけど…。種類が違う車のタイヤをたしていいのかなって…。」と言っており、この疑問を書いていました。
しょうさんのこの悩みを読むと、「たしかに」「実はそう思ってた!」等、気持ちに賛同する子、「答えは同じになるからいいんじゃない?」と反論する子がいました。
場面を表すには、4×4のまま考える、でも答えを出すために8×2のようにしてもよいことを子どもたちの言葉を基に確認し、その上で「じゃあ、答えを出すために使った8のまとまりの考えって、車が増えてもできるのかな?」と問いかけました。
「できるんじゃない?」「いやできないよ。だって…」という反応があったため、車が7台停まっているイラストを提示し、4×7の求め方を考えることにしました。
出された考えは主に4つでした。
①同数累加
②8×3=24(8+8+8) 24+4=28
③交換法則 7×4(7+7+7+7)
④分配法則 4×4=16 4×3=12 16+12=28
子どもたちが驚いたのは、分配法則でした。正直、この分配法則を取り上げるかどうか、かなり悩みました。本来ならば、もう少し後で取り上げることで、3×15の時にその便利さを感じてほしかったからです。ただ、次の2点から、扱うことに決めました。
①分配法則は難しい考えなので、全員が理解するためには時間(聴く、試す)が必要なこと
②今扱うことで3×15の時には「どう分けるか」まで考察する余地が生まれること
この後、それぞれの考え方に名前をつけました。子どもたちの名前で考え方を把握してもよいのですが、単元が長く、子どもの名前をつけていくとかなり多くなってしまうからです。
次のようなネーミングになりました。
①同たし算(同数累加)
②はんたいにする方法(交換法則 ※次の時間には、「はんたいほう」に代わります)
③分けかけたし算(分配法則)
| 第9時の板書 |
子どもたちのノートや算数絵日記から、今回は「4のまとまり」を意識する姿が見られました。だからこそ、分配法則も出てきたのだと思います。時間の関係上、丁寧に扱うことはできませんでしたが、着想まで問うべきだったと反省しました。分配法則で考えたあやこさんは、4×4=16は分かっているから。と後から教えてくれました。今回の単元で大事にしたい姿です。
次時以降は、着想も大事にしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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