第5学年 「夜空に描く秋の大◯角形」(図形の角) 〜本実践について〜

公開日: 2026年9月27日日曜日

 算数科の津川です。

今年度は5年生の担任をしております。ちょうど3年前に担任をしていた子たちと再会し、毎日子どもたちの元気さに圧倒されながら、とてもいい刺激を受けつつ過ごしているところです。

今回の実践をするにあたって1番にねらっている姿があります。それは、夏休み前に「合同な図形」の学習をしていたときのことです。辺の長さや角の大きさについて、いくつ条件がわかると作図することができるのか子どもたちと考えていました。

三角形を考えた際は、3つ条件がわかると三角形が決まることを実感している姿がありました。ただし、3つであっても「3つの角の大きさ」などは、三角形が1つに決まることができないことから、中学校で学習する3つの三角形の合同条件を見いだす姿もありました。この図形が決まる最小の条件について、「四角形はどうなるのかな?」と子どもたちが発展させて考えたときに、その時が来ました。「四角形が決まる条件は、最小で5つになるのではないか」という予想が立った際に、子どもたちに「どうして5つで決まるんだろう?」と問いかけました。その時、子どもたちの手が止まりました。これまでたくさん試行錯誤してきたはずの三角形が見えなくなってしまっていたのです。そこで、私が写真のように緑の線を描き入れます。


そうすることで、子どもたちは三角形2つを見いだし、これまでの三角形の合同条件に着目しながら、どうして最小5つの条件で描くことができたのかを説明する姿がありました。
このように、図形の中に図形を見付けることに課題があることを感じました。

これは、令和7年度全国学力・学習状況調査においても、図形の角を求める問題では無いですが、同じような結果が得られていると考えます。この問題においては、五角形が提示され、そこに補助線を引く指示があります。その補助線を引いた後の図形からどのように分割したのかを見いだし、面積を求める問題です。この問題においては、正方形や長方形、平行四辺形、菱形、台形、三角形それぞれの面積の公式は与えられています。しかし、この問題における正答率は37.8%となっていました。これらの結果から、多角形の面積を求める際に、基本図形に分割するなど、面積の求め方を知っている「既習の図形」を見いだして考えることができるようにすることや、分割した図形が、どのような図形に分割したのかを明らかにして面積を求めるために必要な長さを捉えることの大切さも挙げられています。
この見方は、今回の単元の図形の角において、多角形の内角の和を求める際にどうしてその中から分割をしたのか「既習の図形」を捉えながら学び進めることは、この後の単元で学習する面積においてもつながるものと考えます。

さらに、中央教育審議会初等中等教育分科会における教育課程企画特別部会算数・数学ワーキンググループでの取りまとめ案では、見方・考え方のあり方について、「論理的、統合的・発展的に考え、批判的に考察すること」と規定されました。さらに、内容の充実について、小学校段階では、各学習内容において、中・高等学校での論証指導につながる、論理的に説明する活動等を充実することが挙げられました。これらにアプローチしやすいのがまさに、図形の単元であると考えます。この単元において、例えば四角形の内角の和が360度であることに対して、四角形の中から、既習の三角形を見つけ演繹的に説明することが目指されます。どうしてこの形で分割したのか、自分たちは何を手がかりに説明を行っているのかを明確にしながら、一つ一つ図形の性質を明らかにしていく学びを目指したいと思っています。

上記のことから、この実践で目指したい姿は以下の通りです。

図形の角度を繰り返し測る中で見つけた図形の性質について、説明可能な図形へと分割することで、その理由を演繹的に説明し合う姿

先に述べておきますが、今年度の初めに、ホームページにて複数の単元の織り込み型単元を提案しましたが、今回目指したい姿とうまくマッチさせることができなかったため、この実践においては除いて考えることとしたいと思います。また、11月ごろに今回の図形の角と偶数と奇数、約数と倍数の2つの単元の見方・考え方が混ざり合う学びを提案することができるればと考えています。(この単元の後半に偶数や奇数に着目し始める姿は出てくると考えています。)

それでは、本実践における教材を具体的に紹介していきます。

まずは、多角形の内角の和を求めることのよさは次の3つがあると考えます。

・正多角形を描く際に、1つ分の内角の大きさをすぐに求めることができる

・すべての辺の長さが等しくなく、すべての角の大きさを等しくない多角形(以下、一般多角形)の角度を分度器を用いて測定する際に、最後の1つの角は、分度器を使わずに求めることができること

・一般多角形を分度器を用いて測定した際に、その測定が正しいかどうか確かめることができること

まだ他にもあると思いますが、今回考える教材の中ではこの3つがメリットかなと思います。教科書では図形の角の導入において、2つの有名な直角三角形の三角定規を拡張して、それぞれの角の大きさを調べた際に、内角の和が一定であることに着目させていきます。つまり、内角の和を求めること自体を目的としていきます。内角の和を求める目的意識を醸成するために「図形が敷き詰まるかどうか」の活動を行うことがあります。これは学習指導要領解説にも載っている活動例です。しかし、「敷き詰まる」で見たときに、五角形以上だと集めた角度は360度よりも大きくなるため、複雑な状況となります。

そこで、今回は「プログラミング」ができないかと考えました。今回用いるプログラミングのアプリとしてはスクラッチです。


上の写真のように、星空を背景とした中に、星型のスプラウトに命令を与え、様々な星座を描いていきます。この目的意識に関しては、総合的な学習の時間においてプログラミングを学ぶ時間を設定しました。全部で4時間です。1時間目はコマンド自体を学び、星型のスプラウト動かしている時間、2時間目は一般三角形をプログラムする時間、3時間目は一般四角形をプログラムする時間、4時間目は自分オリジナルの大◯角形を描く時間です。それぞれ、図形の角の時間の間に織り込みながら設定しています。
どうして大◯角形としたかといいますと、子どもたちが自然と閉じる形へと目を向けることができるようにするためです。例えば、「星座を描く」という目的意識だと、白鳥座のような、どちらかというと、多角形として扱うことができない閉じていない形をイメージしてしまうことにもなります。今回の学習につなげるため、夏の大三角形や秋の大四辺形、冬のダイヤモンドなどに代表される夜空に描く多角形へと焦点を当てるようにしました。

子どもたちは、プログラミングをする際に角度をプログラムしていく必要があります。この過程で、図形の角へと着目をしていきます。実際にプログラムする際には、図形の外角に着目する必要があります。しかし、まだ外角の性質は学習をしていないため、図形の内角を求めた後に外角を求めるという文脈を作っていきます。ちなみにこれは令和2年度全国学力・学習状況調査において、正三角形を描くプログラムに関する問題が出題されました。この問題については外角を捉える必要があるため、正当率は49.1%にとどまっていました。この内角と外角の関係を捉える学習を単元の1時間目に設定していきます。

正三角形を描いた後に、子どもたちは一般三角形へと目を向けていきます。しかし、急にプログラムするのは難しさがあります。そこで下の写真のようなワークシートである「星空設計図」を渡します。これはドットが1cm間隔で5 × 5で敷き詰められていて、適当にドットを選び結ぶと多角形が現れます。この長さをミリ単位で測り× 5すると、プログラミング上の何歩と同等の長さになります。また角度を測ることでそのままプログラムすることが可能になります。


星空設計図は、内角の和が一定であることを証明する際の鍵となります。この設計図を実際に切ったり折ったりする操作活動を可能にすることで、今どの形について話しているのか、どこの角度が何度なのかを実感しながら説明することができるようにします。また、四角形の際には三角形を見いだして、線を引くのではなく、切って分割する姿も出てくることが予想されます。そうすることで、切り出した後の形をもとにして、どうして四角形の内角の和が360度になるのかを実際の図形を基にして説明することができるようになります。
星空設計図の写真ですが、上に題名が書かれていることに気づいたと思います。これはこの設計図を集めた設計書になります。

上の写真のように、設計図をまとめた設計書として1冊の方が単元を通して完成していきます。この設計図をもとに子どもたちはプログラミングをして実際に多角形を描いていくことになります。
ちなみに、この設計書は、面積の学習でも活用する予定です。与えられた図形をただ求積していく単元ではなく、自分たちの図形の面積を求める活動へとつなげていきます。(なんだかピックの定理も見えそうでワクワクしています)

話は戻りますが、この題名を書いて、それぞれのページにまとめていく活動が単元の4時間目の肝となってきます。子どもたちはそれぞれ図形をどのように認識しているのか、ドットがそのまま頂点となり、ドットとドットを結んだ線がそのまま辺となります。ここで辺の数や頂点の数に着目しながら多角形という言葉と出合っていきます。この辺は、実際に実践を進めていく中で、授業の具体例をもとに説明することができればと思います。

この単元で用いる教材について簡単にお話をさせていただきました。

最後に本実践の山場について紹介します。本実践の山場は、六角形になります。1時間目の最後には冬のダイヤモンド(冬の大六角形)を子どもたちに紹介します。偶然正六角形ができる姿も予想できますが、最終的にこの形をプログラミングで描けるようになるという目標を設定していきます。
どうして六角形かといいますと、六角形は三角形や四角形のように、すべての内角を敷き詰めることが難しいです。だからこそ、分割することのよさが生きてきます。また、五角形は三角形もしくは三角形と四角形にしか分割することができません。しかし六角形は三角形、三角形と四角形、五角形と三角形など組み合わせが複数でできます。分割することで、内角の和を簡単に説明することができるという新しい見方を全員が実感した後に、様々に分割する中でまだ内角の和が了解されていない形、つまり五角形の存在と立ち止まっていきます。今、自分が分割した形は、現在の状況に説明可能な形なのか、一つ一つ論理的に説明する姿を引き出していきます。

それぞれの時間の細かな手立てを紹介していくと、ブログ自体が長くなってしまいますので、この後のブログで具体的な手立てを具体的な子どもたちの様子とともに紹介することができればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。これから始まる子どもたちとの夜空の大冒険、共にたのしむことができればと思います。

算数科 津川





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