概数を使って伝えよう~ミニ新聞で読書冊数向上プロジェクト~⑥

公開日: 2023年7月25日火曜日

 第6時の授業です。

前時の終末で,「目標を設定するなら,どのような数の処理の仕方がよいか」を問うたところ,子どもたちの考えがずれていました。そこで,ふみやさんの算数日記を基に,前時を想起させながら,改めて子どもたちの考えのすれを明らかにしていきました。

ふみやさんは,次のように書いていました。

「ぼくは切り上げがいいと思いました。理由は切り上げたらその冊数がんばろうってなるし,(もし1人あたりを伝えるとしても)小数になると1・2年生はわからないと思うからです。合計だとしても多めに切り上げた方がいいと思いました。」

子どもたちに,「みんなはどう?」と聞くと,「いいと思う!」「四捨五入でもいいんじゃない?」と反応が返ってきました。「切り捨ては?」と問うと,「目標だから切り捨てはない!」という子が大勢いる中で,りょうたさんは首をかしげながら,「だけど,切り捨てにもいいところはあるんじゃない?」と発言しました。

これらの反応から,めあてを「目標を決めるためにどの方法がよいのか」と設定し,それぞれの考えをノートにかいたあと発表していきました。

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T:じゃあ、切り捨てから順番にいこうかなと思います。そのときに式とか理由とかいってく ださい。

ひろや:切り上げになると,こんなに多いから借りなくていいやってなって,少なくして借             りる量を多くする。だから,切り捨てがいい。

しゅうや:目標が少なくなったらだめでしょ。

りょうた:似ているんだけど,数が多くなって,ぼくはこんなに借りられないな,、無理だなってなるけど,切り捨てだと,あ,いけるなって,やる気が出て,目標の数よりも小さいけど,やる気が出たら,目標の冊数までいけるんじゃないかな。

T:具体的な式とかある?

たいが:3100+3700

T:みんなどう思う?

C:反対。

るな:切り捨てだと,誰でも計算するってなたら,数が少なくてやりやすいけど,例えば買い物とかだいたいでやるときに,足りなくなるから困るんじゃないかな。

みさき:切り捨てだと,現状で達成しているから,目標は今より高い方がいいから,切り捨てはやめた方がいい。

T:他のやつも聞いてみましょうか。じゃあ,他の人たちはどう思いますか?

こうた:四捨五入がいいと思ったんですけど,切り捨てしすぎると目標が小さくなってやりにくいし,切り上げしすぎると,ここまでやるんだったら,ぎゃくにやる気が出なくて,間をとって四捨五入の方がやる気が出るんじゃないかなと思う。

T:どれくらいになるのかな?

こうた:十の位を四捨五入して,3200+3700。

よしと:切り下げとかする前は,6874冊で,四捨五入したら6900冊になるから,差が26冊。だからちょうどいい。

はる:一番小さい6年生でも1学年で84冊だから,26冊は普通にいけるんじゃない?

りさ:少ない6年生でも84冊いっているから,6学年で+26冊だから,余裕でいけるんじゃないかなって。

こうた:受験勉強が入ってきて大変じゃないですか?そこまで借りるんだったら,もっとやめようぜってなって…。

T:じゃあ,切り上げもいってみましょうか。

ふみや:どっちも4000なんですけど…。

は る:それは目標が高すぎる。

ふみや:十の位で四捨五入して,3200と,百の位で切り上げて4000

しゅうや:両方十の位で切り上げして,3200+3800にして7000にした方がちょうどいいんじゃないかな。

よしと:(もとの数(6874冊)との差が)126じゃん。

こうた:目標が高すぎて,みんな諦めてしまう。

T:しゅうやさんは,最初はどう考えていたの?

しゅうや:4000+4000。さすがに多かった。

やまと:ぼくは四捨五入がいいと思う。なぜかというと,他の切り上げとか切り捨てだと,切り捨てだと小さいのが出るし,切り上げがだと多すぎる。本当の答えに近いから,四捨五入がいい。

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子どもたちは,自分たちの処理の仕方とその理由について発言していきました。様々な考えが出されたものの,「差が26冊」「本当の答えに近い。」などの意味が十分に伝わらない子どもの様子もありました。そこで,数直線による説明が行われるように,発問をしていきました。

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T:差が少ないって見える?差が大きい小さいってイメージわいてますか?となりと確認してみて。

(近くの友達と交流)

T:はるさん,ちょっといい?

はる:小さいとか差が少ないとかのイメージがわきにくいなら,差が少ないっていうのは,ここらへんとかここらへんのことで,分かりにくいなら,これをイメージしたら分かりやすい。


T:一番,大きいのは8000。8000入るかな。1めもり50ならいけるかな。

こうた:けっこう遠いな。

T:ひろやさん,あさとさんイメージわいた?

きりお:(数直線を見ると)やっぱり,四捨五入は元の数が6874冊。四捨五入が6900で26冊違う。切り上げは7000で結構上がっているから,近い数字の四捨五入がいい。

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このようにして,数直線を基にすることで,「近い」「遠い」というイメージを共有でき,改めて,友達の考えを解釈することができていきました。

子どもたちはやはり,近い数にこだわっているように感じました。目的に応じて概数にするときに,四捨五入だけでなく,切り上げや切り捨ての効果も感じてほしいと思ったので,8000という数に対して,立ち止まりを促していきました。

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みさき:ふみやくんの考え(7200冊)でいくと,300もかりないといけないから…

T:300ってどこからどこまでを言っているの?

みさき:6874から7200。300ぐらい差があって…。差が大きいと思う。

T:なるほど。今,現状を考えたうえで,あんまり高すぎたらいけないってことだね。でも,さっき,6学年で26冊なら簡単すぎじゃんって話がでたよね。この学校って何人いるんだっけ?

C:638人くらい?

りさ:1人がプラス1したら,638冊増える。だから,少ないかもしれない。

T:どう思う?1人プラス1冊したら638冊増えるんだよ。

よしと:+5冊なら,3200冊くらい。

はる:+2冊なら,1276冊になる!

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数直線で考えると,「遠い」と感じていた8000冊ですが,具体的に数を計算してみると意外と達成できるかもしれないと子どもたちは思い始めました。予定では,ここから,各学年に伝える目標冊数を考えるつもりでしたが,時間がなくなったので,班で本時で分かったことや分からなかったことを話し,算数日記を書いていきました。

本時を通して,課題解決に用いた数学的表現(モデル)は,子どもが理解するために有効に働いていたとは思いますが,モデルに自ら働きかけて友達と対話し,課題解決する姿までは至っていないと感じました。子どもが,数直線に638冊増えることをかきこむ姿があると,「自ら働きかける」ことになったのではと思います。

そのためには,子どもたちが「モデルがあるからこそわかる」と必要感やそのよさを感じることが重要です。問題場面の設定やモデルそのものについて研究を深めていく必要があると思いました。











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